皆々様こんにちは。
『機動戦士ガンダムGUuuuuuuX(以下『ジークアクス』)』担当のgatoです。
前回はキシリアの元で保護されたニャアンの行方が描かれました。
新たなガンダムであるジフレド、「ディアブロ」という概念…。
いやぁ、相変わらず情報が特盛ですね(笑)
今回は地球への大気圏突入を決行したマチュの行方が描かれました。
僕が何度か触れてきたあのキャラクターが登場したり、ついにシャロンの薔薇がでてきたりと、とんでもない展開がめじろ押し。
一体どうなったのか、じっくり振り返りましょう。
ソドンでのひととき

© 創通・サンライズ
まずはソドンでのマチュの様子や、シャリアとの絡みをチェックしてみましょう。
日常はとうに過ぎ

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シャリアたちに回収されたマチュですが、ものっすごい不貞腐れていましたね(笑)
コモリやシャリアはドライながらもそれなりに気を使って接していましたが、マチュは辛辣な態度を崩しませんでした。
コモリの私服をジオンの軍服だと思って拒絶をする場面が印象的でしたね。
なりゆきとはいえ、ジオンの一員となることを諾々と受け入れたニャアンとは対照的です。
一方で、スマホに夥しい数のメッセージや着信履歴が入っているのを見たときは、さすがのマチュも動揺していました。
第3話以降の記事から度々指摘していましたが、マチュは「退屈な日常」からの脱出を強く求めていました。
しかし退屈な日常を脱出する糸口としていたシュウジは行方不明となり、友達となったニャアンとはある意味喧嘩別れ。
そしてクランバトルに関わっていたことが発覚したことで、完全にイヅマ・コロニーでの居場所がなくなりました。
望んだ形ではないとはいえ、マチュは退屈な日常から完全に解き放たれていたといえますが…当人にとっては得心がつかない結果でしょう。
第6話でマチュはタマキに面と向かって反抗し、こちらも喧嘩別れとなっていますが、そもそも彼女は母親に対してそこまで嫌悪感は持っていませんでした。
むしろ三者面談に来てくれることに感謝するなど、忙しい中でも自分に構ってくれることにそれなりのありがたみや喜びを感じていました。
スマホを見ていた際のあの表情は、タマキからの連絡に対するリアクションでしょう。
どの友人よりもタマキが一番連絡をくれたことに対して、動揺したのかもしれません。
唾棄すべき退屈な日常の象徴のような存在だったとはいえ、間違いなくタマキに救われていた事実がある以上、彼女から完全に切り離されたことは、まだ年ごろの女子高生であるマチュにはそれなりにショックだったのでしょう。
尋問

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囚われたマチュは早速シャリアから尋問を受けることになりました。
そこで印象的だったのはシャリアの振る舞いです。
マチュの思考を読みながら機密事項をペラペラ話したり、シャロンの薔薇の行方が分かった途端に目をギンギンに見開かせたりと…彼のシャアへの「執着」がギンギンに放たれていましたね(笑)
あの目を見開いた表情を見せるシャリアこそが、彼のニュータイプとしての本質なのかもしれませんね。
他方で、終盤でシャリアは意図的にマチュを脱出させ、彼女の足取りを追うことでシャロンの薔薇へたどり着こうとしていたことが明かされました。
尋問のときに機密事項をペラペラ話していたのも、マチュがシュウジに「執着」していることを見抜いたうえで、彼の存在を想起させるワードを連発することにより、遠回しに彼女が行動するように促したのでしょう。
なんていうか、今作のシャリアは他人をとことん手のひらで転がす策略家の一面がすごいですね(笑)
ところで、シャリア以外にも気になる点が2つ。
まず、コモリが「ジャンク屋からも何も出てきません」と口にしていたところから、恐らくアンキーをはじめとするカネバン公司の面々はすでに囚われている可能性が他界でしょう。
コモリが把握しているところを踏まえると、もしかしたらソドンの中にいたのかもしれません。
そしてシャリアに尋問されていた場面や、後半の地球での場面のマチュを見ていると、彼女のニュータイプとしての素質はニャアンほどの開花していない印象があります。
ニャアンのように思考や心情を読み取っていないところが示唆的ですね。
そう考えると、マチュのニュータイプとしての能力は精神感応ができる相手がいることによって最大限発揮されるもののような気がします。
まぁ単純にマチュがまだ未熟なだけなところもあるんでしょうけど(笑)
声の主

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ここでは第1話以来久しぶりに登場した謎の声について掘り下げてみましょう。
すでに一部界隈では「声の主はアムロではないか」と推測されていますが、僕もこの説には興味があります。
まぁ第1話の記事では適当にシュウジかシャアじゃないかといっていましたが(笑)
今回の描写を見ていると、確かにあの声の主はアムロの可能性があるでしょう。
それも、(少なくとも)あの世界ではない「向こう側」のアムロです。
まず根拠として、シャリアが一瞬見せた、ミラーリングしたマチュのスマホです。
英語で記載されていましたが、あの画面には脱出の指示が書かれていました。
あの細かい指示はペガサス級の内部に詳しくなければ書けないでしょう。
ペガサス級=ホワイトベースに乗っていたことがある人物、つまり『ジークアクス』以外の世界で、正史のようにホワイトベースに乗っていたアムロという説が成立するわけです。
ただ、これだけの根拠だったら『ジークアクス』の世界におけるシャアにも同じようなことができそうなんですよね…。
そもそもカバスの館は『1st』の小説版である『密会~アムロとララァ』でシャアとララァが最初に出会った場所なんです。
そこでマチュとララァが出会う展開を作るなら、アムロよりシャアが誘導した…と考える方がしっくりくる感じがあります。
マチュは地球に立つ

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ここからは地球に降り立ったマチュについて掘り下げていきましょう。
カバスの館

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地球に不時着したマチュが辿り着いたのは正史でララァが娼婦として過ごしていたカバスの館でした。
インドにある、所謂「娼館」と呼ばれるものです。
先述したように、ここはシャアとララァが最初に出会った場所であり、非常に重要な場所だといえます。
そこでは貧困層の少女が娼婦や小間使いとして雇われていることや、物乞いをするほど困窮した子どもたちが大勢いることがヴァーニやカンチャナによって語られていました。
顧客が明らかにジオンの将官だったことを踏まえると、地球の困窮ぶりが依然として回復していないことが窺えます。
また、見張りが銃を持っていたうえに軍服姿だったことを踏まえると、社会的に地位が高い人間、あるいは国家権力に近い人間が運営している可能性もありそうですね。
向こう側の夢

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さて、いよいよララァについて触れてみましょう。
作中に登場するララァは夢を通じて未来=向こう側の世界を垣間見る能力を持つ人物として描かれていました。
その夢ではララァが「ジオンの若い将校」と恋に落ち、連邦軍の「白いMSの彼」と戦い、命を奪われること、そしてララァは双方の彼を好きになるとのこと。
まさに正史の『1st』のような体験が繰り広げられていたというわけです。
この時点で劇場版の記事で描いた向こう側=並行世界という仮説は成立しますね。
まぁ並行世界という説は誰もが予想していたとこだと思いますが(笑)
ただ、気になるのはララァの見る夢ではいつもジオンの将校=シャアが、常に白いMSの彼=アムロに命を奪われていたということ。
ララァが登場する『1st』では、彼女がシャアを庇って命を落としているため、この時点で結末が異なる世界線…つまり正史ではないことが窺えます。
つまり『ジークアクス』で示唆される『ガンダム』の世界線は正史から常に外れており、「ララァがシャアを庇って命を落とす」という展開が現時点では存在していないような状況になっているわけです。
ここには非常に重大な意味があると思うのですが、そこは後述します。
夜間飛行

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ジオンへの引き渡しが決定されたことに伴い、ララァはヴァーニやカンチャナの手引きでマチュを逃がすことに。
さらにヴァーニたちはマチュにララァを連れていくように頼み込み、2人は逃走を図ります。
しかし、マスターたちが追いついてきた際にララァはカバスの館に残ることを決意。
結局マチュが1人で旅立つことになりました。
ここで印象的なのはマチュとララァのスタンスの違いです。
ララァは結局シャアを待ち続けることを選びました。
本物の恋をした「向こう側」の夢になぞらえるかのように。
対して、マチュは終始シュウジに会うためにアグレッシブに行動する道を選んでいます。
好きな人を待つのではなく、たとえ困難な道だとしても自分から会いに行く。
好きな人に対するマチュとララァのスタンスは明確に対照的です。
このスタンスの違いはニャアンも含めるとちょっと面白い解釈ができそうですが、こちらも後述することにしましょう。
あと、個人的に面白かったのが今回のエピソードでは「宇宙が自由になれる場所」として語られていたところです。
特に地球で娼婦として暮らすララァにとって、宇宙は自由になれる場所であると同時に、現状を脱却できる場所として位置付けられていました。
一方のマチュは退屈な日常の脱却と、シュウジへの接近のために「地球に行くこと」を重視していました。
ただ、マチュは第1話時点でアンキーに「宇宙って自由ですか」と問いかけています。
つまり、マチュが真の意味で「自由」を知る場所は地球ではなく宇宙である…と捉えられる余地がここに示唆されている気がしますね。
シャロンの薔薇

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ここでは終盤で驚きの正体を明かしたシャロンの薔薇を絡めつつ、今回のエピソードを総括しましょう。
在りえなかったモノ

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まず驚いたのがシャロンの薔薇の正体ですね。
まさかのエルメス!withララァ!
コモリはエルメスを「チューリップ」だと評していましたが、聖書に出てくるシャロンの薔薇は実はチューリップだといわれているそうです。
この辺りのなぞらえ方は実に上手いですね(笑)
ところで、エルメスが出てきたということは、あのララァは『1st』の『光る宇宙』で登場した、いうなれば「オリジナルのララァ」と捉えられそうですね。
個人的にそのように解釈すれば、『光る宇宙』で描かれたエルメスの独特な消滅が実はゼクノヴァであり、『ジークアクス』の世界にシャロンの薔薇として出現した…という解釈ができそうなので得心がつきます。
どういう原因かは不明ですが、シャリアが語ったようにシャロンの薔薇が「この宇宙では不安定な存在」なのだとしたら、恐らく『光る宇宙』で爆破する直前の状態で時間凍結し、そのまま『ジークアクス』の世界に転送された…といった具合でしょうか。
だとしたら、『光る宇宙』で命を落としたララァが「刻が見える」とアムロに告げた場面が、そのままソロモンで消えたシャアと重なりますしね。
ただ、アムロによって攻撃された跡がない理由としては若干こじつけ感が否めない(笑)
だからシンプルに捉えて、「目の前でシャアを喪った世界線のララァ」と捉えるのが無難なような気がします。
すべては〈ララァ〉につながる

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ここでは、ゼクノヴァやサイコミュとシャロンの薔薇=ララァについて考えてみましょう。
発生と連動して消失するなど、ゼクノヴァと深い関わりがあるシャロンの薔薇ですが、エルメス、そして搭乗者がララァであった時点で、前回の記事でも触れたことが符号することがわかります。
「向こう側の誰か」はララァ=あらゆる並行世界の結節点となった概念的な存在としての〈ララァ〉ということです。
ただし、これはシャロンの薔薇に搭乗しているララァでもないでしょう。
『ジークアクス』のララァが「向こう側」の夢で異なる自分を追体験しているように、本作ではララァが夢を通じてありとあらゆる並行世界のララァとつながっているかのような描かれています。
いうなれば、無限にある並行世界を繋ぐ中心点のような存在としての〈ララァ〉がキラキラやゼクノヴァが発生した際に出現しているのではないでしょうか。
ただ、気になるが、そんなララァとアルファ・サイコミュやオメガ・サイコミュの関係性です。
今回はジークアクスのコックピット内の搭載された腕のようなセーフティーバーを動かしたり、コアファイターがマチュを乗せて自動で飛び立ったりと、自立した行動を取っている場面が見られました。
ジークアクスが自立行動を取る場面は第7話を筆頭に度々見られましたが、今回は明確にララァやシャロンの薔薇の元へ案内しているような印象があります。
「シャロンの薔薇は地球にある」とシュウジに伝えていた赤いガンダムのように。
つまり、作中のガンダムやサイコミュはララァ、ひいては〈ララァ〉の存在を念頭に置いて行動しているという捉え方ができるわけです。
ただ、この解釈をする場合、気になるのが「誰がサイコミュを介してマチュやシュウジを誘導しているのか」という点です。
そもそも赤いガンダムとジークアクス双方の行動はイマイチ一貫性がありません。
双方ともシャロンの薔薇を探しているという共通点はありますが、赤いガンダムは何かにつけてゼクノヴァを引き起こして消えているのに対し、ジークアクスはゼクノヴァを起こしそうな雰囲気は漂わせつつ、ただマチュをカバスの館やシャロンの薔薇の元へ案内している印象でした。
シュウジのセリフを踏まえると、ララァが何度も異なる展開で同じ結末を迎える「向こう側」の夢を見ていたように世界線を描き変えるためにゼクノヴァを積極的に起こす赤いガンダムと、マチュを支えながらシャロンの薔薇に向かっていくジークアクス…という対比ができそうな雰囲気ですね。
となると、赤いガンダムを誘導している誰かと、ジークアクスのそれは異なる存在であると仮説が立てられそうです。
この仮説を念頭に置くとしたら…作中の描写を踏まえると赤いガンダムは〈ララァ〉、そしてジークアクスは声の主を絡めれば〈シャア〉と捉えられそうな気がします。
つまり赤いガンダムはララァが何度も夢を見るように、ゼクノヴァによって並行世界を描き変え続けながらシャアが生き残る未来を作り出そうとしている〈ララァ〉の意思に沿って動いている。
対してジークアクスはマチュを守りながらララァと出会おうとしている〈シャア〉の意思に沿って動いている…という感じでしょうか。
赤いガンダムはソロモンでサイコミュが発動した際、シャアに〈ララァ〉の姿を一瞬見せていますし、ジークアクスは先述したようにペガサス級の内部構造+カバスの館を知っているという点で〈シャア〉と捉えるのが自然でしょう。
うーん、正直粗が多い仮説なのですが、個人的にはわりと嫌いじゃないです(笑)
ただ、この仮説を進めるうえで個人的に道筋を立てておきたい疑問が2つ。
まず、シャロンの薔薇の存在です。
「向こう側」=並行世界やゼクノヴァと重大な関連性がある一方で、シャロンの薔薇とガンダムは明確に独立しています。
『ジークアクス』の世界におけるララァも、薔薇の存在を認知しつつも接触している様子はなく、むしろ自分とは異なるものとして扱っている印象です(単純に
正体を知らない説もあるでしょうけど)
そもそも、なんで赤いガンダムもジークアクスもシャロンの薔薇を追っかけているのか…この疑問は解消しなければならないでしょう。
個人的には、「シャロンの薔薇があるからゼクノヴァが可能になってしまったのではないか」と捉えています。
つまり、初めてゼクノヴァを起こして『ジークアクス』の世界に転移してしまったことが原因で、並行世界のララァ同士がつながってしまい、ゼクノヴァによる世界改変が可能になってしまった…という解釈です。
これなら、「シャロンの薔薇の中にいるララァは目の前でシャアを喪ったララァ」という解釈ときれいに接続しますしね。
その場合、赤いガンダムのサイコミュを誘導する〈ララァ〉は積極的に世界の描き変えを続けるため、そしてゼクノヴァが発生する源を守るためにシャロンの薔薇の元へ行こうとしている…と捉えられます。
となると、先ほどの仮説を踏まえた場合、ジークアクスは別の目的でシャロンの薔薇に接触しようとしているといえますが…。
正直根拠が薄弱なので妄想の域を出ませんが、ジークアクスはシャロンの薔薇を元の世界に還そうとしている…という可能性はないですかね。
なんていうか、自分のために〈ララァ〉に世界の描き変えを繰り返させつづけるのを止めようとする方が、〈シャア〉には合ってる気がします(笑)
そしてもう1つの疑問が前回登場したジフレドです。
ジフレドにどのようなサイコミュが搭載されているかは不明ですが、もし赤いガンダムが〈ララァ〉、ジークアクスが〈シャア〉だった場合、ジフレドは誰の誘導で動いているんでしょうね。
…ここまで来たら消去法的に〈アムロ〉になりそうな予感がします(笑)
『ジークアクス』第9話感想

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ちょっと深夜にこの記事を書いているのですが、かなり疲れちゃったのでここで畳んじゃいます…。
本当はもう少し書きたかったんですけどね…。
それだけ今回のエピソードも濃密かつ濃厚でした。
今回のエピソードで本作のやりたいことやテーマがちょっと見えてきた気がしたので、個人的にかなり楽しめましたね。
「実は何も考えてないだろ」と思われるのもあれなので、簡単に記載すると…。
第6話の記事で書いたように、やはりこの作品はマチュ×ニャアン×シュウジの三竦みそのものがテーマなのでしょう。
互いに理解し合えるはずなのに、巡り会ってしまったが故に対立し、破綻してしまう関係。
その関係は本当に破綻を迎えるしかないのか、あるいは別の道があるのではないか…それを今作は探求しているのではないでしょうか。
シャロンの薔薇がゼクノヴァを実現させてしまったことが事実だった場合、それを除けば『ジークアクス』の世界はある意味平和な世界なのでしょう。
だって、シャアもララァもアムロも結局出会わなかったですからね。
OPの歌になぞらえるなら…。
君の顔も知らずのまま 幸せに生きていただろうか
まさにこれを実現していた世界が『ジークアクス』というわけです。
▼ジークアクスの記事はこちらにまとめてあります!
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