2025年1月~3月
原作:魚豊
監督:清水健一
シリーズ構成:入江信吾
キャラクターデザイン:筱雅律
美術監督:河合泰利
色彩設計:今野成美
撮影監督:伏原あかね
編集:木村佳史子
音楽:牛尾憲輔
音響監督:小泉紀介
アニメーション制作:マッドハウス
ラファウ:坂本真綾
ノヴァク:津田健次郎
フベルト:速水奨
オクジー:小西克幸
バデーニ:中村悠一
ヨレンタ:仁見紗綾
アントニ:三上哲
ドゥラカ:島袋美由利
シュミット:日野聡
マズル:入野自由
アルベルト・ブルゼフスキ:石毛翔弥
アルベルト(少年期):種﨑敦美
15世紀ヨーロッパが舞台の文学アニメ。
聖書の教え以外は異端とされ、厳しく追及、排斥された時代に「知」を追い求め、「血」で代償を払い、「地」即ち人間世界と神との関係性を探究した人々の群像劇。
鬱々とした世界観、凄惨な拷問や戦闘シーン、難解な哲学・神学問答、そしてあんまり魅力的でないキャラクター(萌えなし)……とかなり忍耐を強いられる作品。
あえて対象年齢を設けるなら30代以上が適切かも。
それぐらい視聴者を選ぶ作品だった。
作中、「地動説」がキーとなり、それを受け継いでいくことでプロットが進んで行くのだが、主題は「知」そのもの。
「地動説」は正直ガジェットにすぎないのでそこまで重要ではない。
中世ヨーロッパを選んだのは、「知」が抑圧された世界が必要だったからだろう。
ただ、中世の神学についてはかなり芯を喰っている作品だと思われる。
キリスト教の基本概念を知らないと置いていかれる箇所も多々ある。
途中から「これはアニメではなく文学作品だ」と理解して、純文学小説を読むつもりで視聴したが、やはりアニメという媒体は文学するには不向きだと感じた。
作中、小説なら一度本を閉じてゆっくり頭を整理してから再開しているだろう箇所が多々あったが、アニメではどうしても停止する気になれず、そのまま流してしまった。
そのせいか、自力で作品世界の深部に潜れるはずなのに、浅いところにとどまらざるをえず、そのまま視聴を終えてしまった。
完走後、再度考えながら視聴する意欲は湧かなかった。
萌えキャラの一人でもいれば違ったかもしれないが…
あと、主題である「知」についても、最終話で答えのようなものを用意しているところが全体の文学性を薄めている気がした。
純文学小説ならあんなあっけない答えを用意する必要はなく、原作は知らないが、アニメならではの落とし所として用意した印象が強かった。
個人的にはアルベルトが宇宙を見上げるシーンで終わってもいい気がする。
その方が彼の後にも紡がれていく「知」、流されていく「血」、そして存在し続ける「地」(人間)、そしてそれを現在(作中)から未来にも変わらず見届け続ける宇宙……という壮大な余韻で終われた気がするのだが……
やはりこの主題をエンタメ色の強い漫画やアニメという媒体で発表する意義があるのかどうか疑問。
純文学小説なら、平野啓一郎「日蝕」を越える作品になれたかもしれないと思った。
ただ、アニメとしては歴史的な作品だし、ひとつ新しい扉は開いたと感じた。
「ここまでやっていいのか!」と啓蒙されたアニメ関係者は多いのではないかと思う。
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不明
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